＜休診日＞ 水曜午後・日祝日
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血液中から肝臓への脂質の吸収量が減少したり、肝臓に蓄えられている脂質が全身組織に必要以上に運ばれたり、血液中の脂質濃度が高くなってしまう病気です。
具体的にはLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪が多い、HDL(善玉)コレステロールが少ない状態をいいます。血中の脂質濃度が高くなる事で動脈硬化が進み、血管内に血栓が形成されてしまい全身を流れる血液の循環が悪くなります。
脂質異常症の基準とは
脂質異常症と指摘される基準は以下の通りです。
| 総コレステロール量 | 220mg/dL以上 |
|---|---|
| LDLコレステロール | 140mg/dL以上 |
| 中性脂肪 | 150mg/dL以上 |
| HDLコレステロール | 40mg/dL未満 |
| non-HDLコレステロール | 170mg/dL以上 |
採血検査を実施して、上記の項目で異常を指摘された場合は脂質異常症と診断をされることがあります。健康診断などで異常を指摘された方は早めに医療機関に相談してください。
脂質異常症は、血液中の脂質値（コレステロール値や中性脂肪値など）が高くなる状態を指します。脂質異常症が発症する原因によって、主に二つのタイプに分類されます。
原発性脂質異常症は、遺伝的な要因が原因となる脂質異常症で、体内での脂質代謝がうまく機能しないことが原因となります。原発性脂質異常症を引き起こす遺伝的な要因は、主に以下のような項目があります。
LDLコレステロール（悪玉コレステロールと言います）が遺伝的に高くなってしまう病気で、動脈硬化（血管が硬くなること）のリスクが高まってしまいます。
遺伝的な要因によって、中性脂肪値が高くなってしまう病気で、心臓病や膵炎などの合併症を引き起こすリスクが高まります。
二次性脂質異常症は、普段の生活習慣や他の疾患が原因となって発症します。二次性脂質異常症の主な原因は以下のような項目があります。
普段の食生活が偏っていたり、運動不足、喫煙・アルコール類の過剰摂取など、身体に悪い生活習慣は脂質異常症を引き起こす場合があります。
インスリン抵抗性やインスリン分泌不足など、糖尿病が原因となって脂質代謝に悪影響が生じてしまい、脂質異常症が発症することがあります。糖尿病について
肥満は、悪玉（LDL）コレステロール値や中性脂肪値が上昇してしまう原因となり、脂質異常症を合併している引き起こすことがあります。
甲状腺ホルモンは分泌される量が減少してしまうと脂質代謝が低下し、その結果として脂質異常症を引き起こすことがあります。
肝臓は脂質代謝に重要な役割を持つ臓器です。肝機能に障害がみられると脂質異常症を引き起こすことがあります。
腎臓に異常が生じていると、脂質代謝がうまく機能しないことがあり、その結果として脂質異常症を引き起こすことがあります。
一部の医薬品（ステロイド系、抗精神病薬、免疫抑制剤など）は脂質代謝機能に悪影響を与える場合があり、その結果として脂質異常症が生じることがあります。
脂質異常症の治療は、発症した原因に応じて対処していきます。原発性脂質異常症の場合は、遺伝的な要因が大きいため、薬物療法が必要になることがあります。二次性脂質異常症の場合は、原因となる疾患や悪い生活習慣を改善していくことが重要となります。
脂質異常症は自覚症状はほとんど感じませんが、長年脂質濃度で異常が生じていると動脈硬化は進行していき、以下のような合併症を引き起こします。
禁煙、食事習慣・運動習慣の改善を行い標準体重を目指すことが大切です。食事ではお肉などの飽和脂肪酸が豊富に含まれている食べ物は極力控えて、魚などの不飽和脂肪酸が豊富に含まれている食べ物を多めに摂取するようにしてください。
主に以下のような薬で治療を行います。
| HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン) | 肝臓でのコレステロール合成を抑制 |
| 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬(エゼミチブ) | 胆汁酸の再吸収を抑制しコレステロールを低下 |
| 陰イオン交換樹脂(レジン) | コレステロールを便中に排泄 |
| プロブコール | 胆汁中へLDLコレステロールを排泄 |
| フィブラート系 | 肝臓での中性脂肪の合成を抑制 |
| 多価不飽和脂肪酸 | 中性脂肪値の低下、血液をサラサラにする |
| ニコチン酸系 | 肝臓での中性脂肪の合成を抑制 |
※2017年動脈硬化予防ガイドライン改変
文責：白土睦人
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