お仕事や家事・子育てなどで疲労感を感じていたり、精神的なショックを受けたときはなんとなく食欲が湧かないといったことはあるかと思います。ただそういった場合は、抱えている問題点・不安点を解消したり、何かに没頭することができる趣味で気分転換できれば食欲不振は解消するケースはあります。

また、お腹が空かない・食欲不振が続く場合には消化器系の病気が関わっていることもあります。その場合は、ただ気分転換をしても症状が治ることはなく、その病気の治療を受けていただく必要があります。

お腹が空かない・
食欲不振の原因とは

慢性的に生じるお腹が空かない、食欲不振の原因としては以下のような項目が考えられます。

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• 消化管の機能低下

  消化管は食べた物を消化して不要なものは体外に排出消化管させようと肛門へ運ぶ蠕動運動を行っていますが、この蠕動運動の働きが低下することで消化管内に食べ物が長く留まり、その結果食欲不振が生じることがあります。

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• 悪性腫瘍 (がん) などの病気

  悪性腫瘍 (がん) や慢性胃炎、逆流性食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、機能性ディスペプシア、甲状腺機能低下症といった病気が原因で食欲が低下することがあります。

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• 精神的なストレス

  精神的なストレスやうつ症状がみられる場合は、脳幹にある食欲中枢が抑制されることがありますので、その結果として食欲低下が生じることがあります。また、ストレスフルは生活習慣が続くと味覚障害が生じる場合もあります。

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• 薬による副作用

  病気の治療目的で医薬品を内服している方もいらっしゃるかと思いますが、その医薬品が原因となって食欲不振が生じることがあります。食欲不振を引き起こす代表的な医薬品としては痛み止め、抗生物質、向精神病薬などがあげられます。

考えられる病気

慢性的にお腹が空かない、食欲不振がみられる場合には、以下のような病気が可能性として考えられます。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍

胃潰瘍や十二指腸潰瘍は幼少期にピロリ菌に感染していることや、痛み止めなどの医薬品の長期間服用などが原因で潰瘍が生じることがあります。胃潰瘍や十二指腸潰瘍ではお腹が空かない、食欲不振が続く以外に、みぞおち付近に感じる痛み（心窩部痛、胃痛）、胸焼け、胃もたれ、吐き気・嘔吐、胃のむかむか感などがあります。潰瘍が深くなると出血が生じ、場合によっては吐血、下血、貧血を引き起こすこともあります。

慢性胃炎

慢性胃炎は幼少期にピロリ菌に感染していることが原因となります。ピロリ菌に感染していることで胃の粘膜では長い間炎症が生じている状態となり、その結果として慢性胃炎が生じます。慢性胃炎では自覚症状が無い方がほとんどですが、お腹が空かない・食欲不振が続く以外に、胸焼け、胃痛、胃のむかむか感などの症状を感じる場合もあります。

胃がん

胃がんは幼少期にピロリ菌に感染していたり、喫煙や塩分摂取量などの普段の生活習慣が胃がんの罹患に関係していると言われています。胃がんではお腹が空かない・食欲不振が続く以外で、胃痛、胸焼け、吐き気・嘔吐、胃のむかむか感、下血（黒い便がでる）などがあります。胃がんは、病状が進行していかないと症状を自覚することが難しい特徴がありますので、些細なことでも構いませんので少しでもお腹に違和感を感じることがありましたらお早めにご相談してください。

大腸がん

大腸がんは運動不足、脂っこい食べ物の過剰摂取、飲み過ぎ、喫煙、野菜の摂取不足などの普段の生活習慣が大腸がんの罹患に関係していると言われています。大腸がんではお腹が空かない・食欲不振が続く以外で、腹痛、腹部の張り、お腹の違和感、下痢、便秘、血便、便が細長くなるなどがあります。大腸がんは病状が進行していかないと症状を自覚することが難しい特徴がありますので、些細なことでも構いませんので少しでもお腹に違和感を感じることがありましたらお早めにご相談してください。

膵臓がん

すい臓がんは運動不足・脂っこい食べ物の過剰摂取などの普段の生活習慣や、慢性膵炎、遺伝などがすい臓がんの罹患に関係していると言われています。すい臓がんではお腹が空かない・食欲不振が続く以外で、腹部や背中の違和感、背中全体に広がる鈍い痛み、肌の色が黄色っぽくなる（黄疸）などがあります。すい臓がんは病状が進行していかないと症状を自覚することが難しい特徴がありますので、些細なことでも構いませんので少しでもご自身の体調で違和感を感じましたらお早めにご相談してください。

甲状腺機能低下症

甲状腺は首のあたりにありますが、その甲状腺で慢性的に炎症が生じていると甲状腺ホルモンの分泌量が減少し、甲状腺機能低下症が生じてしまいます。甲状腺機能低下症ではお腹が空かない・食欲不振が続く以外で、まぶたが腫れる、声がかれる、皮膚が乾燥する、足がむくむ、うつ症状、月経異常などがあります。

内視鏡検査で早期診断を

精神的なストレスや不安感を強く感じていることが原因で食欲不振が生じている場合は、そこまで大きな問題となることはありません。ただ、食欲不振が慢性的に続いている場合は、その食欲不振が生じている原因を明確にするために精密検査を受けていただきたく思います。

お腹が空かない・食欲不振が慢性的に続く場合は消化管の精密検査として内視鏡検査（胃カメラ・大腸カメラ）を受けてください。当院の内視鏡検査は、消化器内視鏡専門医である院長が、胃カメラ・大腸カメラを全例担当しています。

文責：白土睦人